まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 ここは、王宮で暮らしている人々――王族だけではなく住み込みの使用人や騎士も含めて――がお参りするために設けられた場所だ。
 毎日神殿にお参りに行ければいいけれど、それもなかなか難しいからと三代前の国王の時代に用意されたものらしい。

(神様、俺をこの世界に転生させてくださってありがとうございます。ちょっと大変なこともあるけれど、俺は元気にやっています)

 テティウスは両手を組み合わせて、祈りを捧げる。
 ヒマワリの花に飾られた女神の像はテティウスの知っている神様とはまるで違う姿だった。この姿で出てきてくれてもいいのに。
『聞いてくれるかどうかはわからないけれど、一応伝えておくわね』

(できれば、でいいけどね)

 神様にお礼のお祈りをしてから祠をあとにした。
 少し離れたところに、護衛の騎士がいる。そちらにぶんぶんと手を振ったら、彼らは小さく手を振り返してきた。

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