まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
「殿下、どうなさいました?」
「おへやにかえりゅ」
「承知いたしました。失礼ながら、抱き上げた方がよろしいですか?」
「んーん。ぼくあるく」
「かしこまりました。では、お供いたします」

 王宮で働く護衛の騎士は、王族を守ることのできる剣術の腕に、とっさの時に適切な判断を下せる判断力、どう動けばいいのか考えられる頭脳に大人一人抱えて走ることのできる体力が求められるらしい。
 なかなかハードルの高い選考基準だと思うのだが、それでも王族に仕えたいと入団試験がある時には多くの参加者が現れるそうだ。
 今度はテティウスのすぐ前と後ろを騎士が固める。ナビーシャはテティウスの隣だ。三人と一頭が連なって歩く。
 護衛の騎士達は、テティウスが近くにいてもいいと思った時には近くで警固してくれるし、少し一人になりたい時には離れてくれる。大変な仕事だろうなと思いながらも、彼らの心配りが嬉しい。

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