まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
「あれ……このドアなーに?」

 今まで気が付かなかったけれど、庭園を囲む塀に木製の扉がつけられているのに気が付いた。

「それは近道ですね。南の庭園に出ることができます」
「あけてもいーい?」

 とても広大なので、普段は意識しないのだが、庭園はいくつかの区域に区切られている。近道のための扉だったらしい。

「私があけましょうか?」
「ううん、ぼくあけりゅ」

 護衛の騎士が開けてくれるというのを断り、ドアノブに手を伸ばす。
 まだ力がないので、木製の扉を開くのも一苦労だ。えい、と押してみるけれど扉はなかなか動かない。

「んーっ!」

 さらに押してみたら、少しずつ扉が開く。背後に人の気配を感じてちらっと見上げたら、護衛の騎士が片手でこっそり押していた。

(まあいいか)

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