まるっとおまけな人生だから、今度は好きに生きていいよねっ
 どうしても自分の力だけで開きたかったわけでもないし。テティウスが普通の子供だったら、こっそり力を貸してもらっているのに気づかないだろうし。

「よいしょー!」

 少し騎士の力を借りながらも、扉を開くことに成功する。えいやっと足を踏み入れたとたん、視界がぐるりと暗転した。

「あれれれれ?」

 いったい、何があったというのだろう。というか、足が宙に浮いて――違う。落ちている!

「殿下!」
「なんでー!」
「まっかせなさーい! 騎士達は来なくていいわ! 王様のところに報告に行って!」

 ナビーシャの声がしたかと思ったら、ふわっと柔らかなものの上にお尻が落ちた。ナビーシャが背中で受け止めてくれたのだ。風が巻き起こったのは、ナビーシャが翼をはためかせたから。

「……ん?」

 いや、ナビーシャの背中にどうして乗っているのだ。ナビーシャは、まだ子猫なのに。

< 91 / 347 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop