完璧御曹司の溺愛


「んっ…」


 悠斗の舌で、徐々に徐々に口の中を侵されていく感覚。

 その熱烈な愛が嬉しくて、理央の瞼から一筋、涙が流れていった。


 悠斗の吐息は熱く、舌は甘い。

 口の中で互いの唾液が混ざりあうと、自分達の身体も一つになって、溶けていくんじゃないかと思った。


「……っ……んっ……」


 頭の天辺から、足の先まで、すべてが熱く燃えてるみたい。

 身体の神経全てを、悠斗に触れられてるみたい。

 息がうまく出来なくて、何度も意識を手放してしまいそうになる。


 それならいっそ倒れるまで、悠斗とこうしていたい。



「…っ、理央…好きだよ……」



 息つぎの合間に囁かれて、身体中が悠斗で溢れていく。

 満たされていく。

 細胞に、悠斗が深く刻み込まれていく。



「んっ、…悠斗……私も……好き…………」



 理央はほとんど無意識に、悠斗の首に腕を絡めた。

 悠斗は後ろの壁に背をつくと、理央を受け止め、思いきり抱きしめる。


 そしてまた、どちらからともなく舌を絡めあっていた。


 とっくに授業は始まっている。

 窓の外、グラウンドからは生徒達の声が聞こえる。


 その騒がしさをどこか遠くに聞きながら、理央は愛しい人とのキスに夢中になった______







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