完璧御曹司の溺愛


____翌日


 理央は、まだ慣れないベッドの中で目を覚ました。


 理央に与えられた私室は、前の家の私室と比べると3倍程広い。

 秀和が理央の為にと用意したベッドはダブルサイズで、横たわると自分の身体が子供のように小さく感じる。
 
 部屋の中央には、特注で造られたお洒落な装飾のガラステーブルと白いソファ。

 壁紙は暖かみの感じる薄いオレンジ色。

 備え付けられた家具や調度品は、どれも見るからに高そうなものばかりだ。


 まるで、お姫様が住むような部屋___


 幼い頃は憧れたものだが、生まれつきの庶民が実際に住むとなると話は全く異なるらしい。

 昨日から、ソワソワとして落ち着かない。

 まだ、片付けられずに放置してあるダンボールが、この部屋と調和がとれていなさすぎて、酷く浮いて見えた。


 支度を終え、1階のキッチンへおりると、既に母、涼子の姿があった。


「おはよう、理央。よく眠れた?」


「うーん、あんまり…」


「フフ、この家広すぎるわよね、私達には…」


「お母さんは、おじさんと同じ部屋だから、もっと広いよね?」


「えぇ、全然慣れる気がしないけれど。でもこうやって、自分達の出来る事から始めましょう?」


 これから料理人は雇わずに、涼子と理央がこの家の食事を作る事に決めていた。


 働き者の涼子は仕事も辞める気はなく、前の家で暮らしていた時と同じように、家事と仕事をこなすつもりでいる。

 家族の帰りをおとなしく待っているだけなのは、性に合わないのだそう。


「理央、少し手伝ってくれるかしら?」


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