完璧御曹司の溺愛


 夕方、理央は予定通りカレーを作り始めた。

 涼子と二人暮らしの時とは違い、家族が増えたぶん、少し多めに作る事にする。


「悠斗、帰りは5時くらいって言ってたよね」


 早く、帰って来ないかな…

 旦那さんの帰りを待つ新婚の奥さんって、いつもこんな気持ちなのかな。

 これからは毎日会えるのに、早く会いたくて仕方ない。


 すると、5時ちょうどに、玄関のチャイムがなった。


 悠斗、帰ってきた?

 急いでキッチンから玄関へ向かうと、市川がちょうどドアを開けるタイミングだった。


 背の低い市川の頭上から、男性の頭が見えて理央の胸は高鳴りを増していく。


「悠っ…」


 悠斗じゃない!?


 悠斗の黒髪の変わりに見えたのは、金に近い茶色の髪。

 後ろからさす夕日が、更に輝きを強めて一瞬目が眩んだ。


「あっ、いたいた~!君、やっぱりここのメイドさんだったんだね!」


 理央の元に駆けてきたのは、理央が昼間出会った、あの男性だ。



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