完璧御曹司の溺愛
「理央っ!!」
一番に、理央の部屋に駆け込んで来たのは悠斗だ。
悠斗は、枕を抱えてベットの上に座っている理央と、傍らに座ってニコニコしている遠矢を交互に見た。
「ゆ、悠斗…」
悠斗に振り向いた理央は、今にも泣き出しそうな顔をしていて、胸を刺すような痛みと遠矢に対する怒りが、同時にわき出してくる。
「あっれ〜?もう起きちゃったの?お疲れ君が起きるにはまだ早いよ〜?時間になったら、悠斗も僕が起こしに行ってあげるからさ!」
「お前、何で理央の部屋に勝手に入ってるんだよっ!」
悠斗は怒鳴りながら、理央と遠矢の間に入るように立った。
「何でって〜?鍵ついてないからさ?この部屋」
「鍵?」
「ま、ずっと男だけで暮らしてたんだから、部屋に鍵ついてないのは分かるけど、今は女の子がいるんだから不用心過ぎない?理央ちゃんが眠ってる間に、僕みたいな奴が勝手に入って来ちゃうよ?」
さすがにカッとなった悠斗は、衝動的に遠矢の胸ぐらを掴む。
「お前っ、理央に何もしてないだろうな!?」
「してない、してない。って、あれ?ここでまた、昨日の続きしちゃう?悠斗って、理央ちゃんの事になると、本当周りが見えなくなるんだねー」
「……っ」
全く悪びれる様子もなく、カラカラ笑う遠矢に、怒りを通り越し、心の底から呆れた悠斗は、遠矢の胸ぐらから手を離した。
「これ以上、理央に近付いたら本気でこの家から追い出す。だから今すぐ、ここから出てけ」と、遠矢を無理矢理追い出した。