完璧御曹司の溺愛



 扉の取っ手に手をかけた時、理央はドアに、何か見慣れないものがついている事に気が付いた。


 鍵だ。

 内側からしっかり、施錠出来るようになっている。


 悠斗ったら、いつの間に鍵の手配をしてくれていたの?





 それにしても、悠斗は一体どうしたんだろう?


 アメリカにいても電話をかけてきてくれた人が、急に電話に出てくれなくなるなんて…… 


 理央の広いこの部屋は、不気味なくらいシン…と静まり返っていた。


 時間がたつにつれ、悠斗の身に何か悪いことが起きたんじゃないかと、不安になってくる。


 ベッドに入った理央は、今朝、悠斗が座っていた場所を手のひらで撫でた。


「悠斗…」


 一緒に暮らす前は、なかなか悠斗に会えなかった。

 
 それが今では、たった数日一緒に暮らしただけなのに、悠斗のいない夜は、身体の一部が欠けてしまったように、離れて感じる。


 悠斗に会いたい。


 待っていたら悠斗に会える。 

 明日の朝はキッチンで顔を合わせる。

「理央、おはよう」と笑いかけてくれる。


 眠ってしまえばすぐなのに、そんな時間も我慢ができないくらいに、今すぐ屋敷を飛び出して探しに行きたくなった。



 どうしても今夜、悠斗に会いたい……


 それが駄目なら、声だけでもいい……



 悠斗は今、どこにいるの?




 記憶の中でよみがえる、悠斗の温もりよりも言葉よりも、



 悠斗自身を今、この肌で感じたいのに_____






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