完璧御曹司の溺愛



 悠斗のシャツに理央の涙が、一粒一粒、染みていく。

 悠斗が無事に帰ってきてくれた安堵と、つのらせていた恋しさが胸の奥から湧き水のように溢れてくる。


「……会いたかった…。悠斗に、会いたかった…!」


 理央の震える声を聞いた悠斗は、理央の気持ちを受け止めるように、ギュッと抱きしめ返して、耳元で優しく囁く。


「俺もだよ。理央に、会いたかった…」


「悠斗…」


「心配かけてごめんね?ちゃんと帰ってきたよ?」


 そして悠斗は、理央のこぼれ落ちる涙を指の先ですくいあげ、拭ってくれる。


「だから、泣かないで?」


 理央の干からびていた砂漠のような心は、悠斗の優しい微笑みとその温もりで、簡単に潤い、満たされていく。

 けれど、一度溢れた涙は、なかなか止まってはくれない。


「理央、これはどうしたら止まる?」


 理央の涙が、止まることなく流れる事に、悠斗は少し困惑したように言った。


「……分かんない…」


 理央は悠斗の腕の中でグスグスと泣き続ける。


「…でも、もうちょっとしたら落ち着くと思う……だから、もう少しだけ悠斗といたい…」


 悠斗は「少しでいいの?」と、理央の頬にチュッとキスを落とす。


「俺は、理央ともっと一緒にいたい。理央が眠るまで側にいたい…」


「……で、でも悠斗、疲れてるんじゃない?」


「こんな時間までお仕事だったんでしょ?」と、心配顔の理央に、悠斗はニッコリと笑った。


「理央に会えたら、疲れなんて吹っ飛んだよ」





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