完璧御曹司の溺愛
その日の学校帰り、理央はいつも通り、駅の改札を出た。
外は、雨がシトシトと降っていて、降り止む気配はない。
「雨…」
学校は、晴れてたのに………
駅の出入り口から近い場所で、一人立ちつくしていると「理央」と名を呼ばれた。
「え、悠斗?」
どういう訳か、悠斗が理央の隣に立っている。
「ど、どうして?」
「傘、持って来たんだよ」と、悠斗は自分の物とは別の、折りたたまれた理央の傘をかざして見せてくれた。
「今朝、持って行かなかったでしょ?迎えに来たよ」
「…わざわざ来てくれたの?」
「うん」
「ありがとう、悠斗」
今日は、早く悠斗の顔が見たいと思っていた理央は、素直に嬉しくて、自然な笑みがこぼれていた。