完璧御曹司の溺愛
「そっか、梅雨の間だけ…。そう考えると、ちょっと寂しいね。この雨があがっちゃうと、紫陽花は枯れちゃうんだ…」
「でもね、紫陽花は毎年ちゃんと同じ場所に花をつける。土の性質の変化で違う色の花を楽しめるんだ」
「そうなの?」
「うん。だから来年もここで、色とりどりの紫陽花が見られるよ」
「そう思うと今から楽しみだね」
「うん」
理央と悠斗は顔を合わせてニコリと笑った。
「悠斗は、紫陽花に詳しいんだね?」
「そうかな?紫陽花の花の色が土壌の成分によって変化するのは、割とよく知られてる話なんだよ?」
「えっ…そうなの?」
「葉には毒がある事もね。だから理央、間違っても紫陽花の葉は食べちゃ駄目だよ?」
「わ、分かった、食べない!」
理央が勢いよく頷くと、悠斗がクスクスと笑った。
「理央、カタツムリじゃないんだから、普通は食べないでしょ?」
「あっ、そ、そうだね…」
悠斗のクスクスがおさまらない。
からかわれたのだと気付いて恥ずかしくなり、話を変える。
「他には?悠斗の紫陽花の知識、教えてほしいな?」
「他?うーん、そうだな。じゃあ、紫陽花の花言葉は何だと思う?」