完璧御曹司の溺愛
「今日は美味しい料理を頼んであるから、理央ちゃん、お腹いっぱい食べるんだよ?」
理央が「はい」と笑顔を返すと、秀和は和やかに微笑んだ。
上質なスーツに身を包む秀和おじさんは、なかなかダンディな色男だと理央は思う。
背も高いし、姿勢もいいし、清潔感があって、その体からは上品さが滲み出ている。
若い頃はさぞモテただろうな。
いや、もしかしたら今もモテるのかもしれない。
だって、さっきからお母さんが、おじさんを見るときの視線、恋する乙女みたいに熱いんだもん。
自分を見て笑う時の母とはどこか違って、理央は嬉しくなってしまう。
人って恋をすると、こんなに顔が緩むんだね。
少し、羨ましいな……。
「実はね、今夜、こんな堅苦しい場所に呼び出したのは、涼子さんと、理央ちゃんと美味しい料理を食べたいっていうのもあるんだけど、もう一人会ってもらいたい人がいるからなんだ」
「それってもしかして…」と、母が何かを察したように口元を押さえた。
それに答えるように、秀和が軽く頷く。
「実は今日、涼子さんと理央ちゃんに会ってもらおうと、愚息を連れてきたんだよ」
秀和は冗談めかして苦笑する。
愚息?
それって、息子さんって事だよね?
そっか、秀和おじさんにもお子さんがるんだ…。
「その辺でウロウロしてると思うんだが…」と、秀和が懐からスマートホンを取り出した時だった。
母が、理央の後ろに視線を移して、あら?という顔をした。
その視線につられ、理央も後ろに振り向いた。