完璧御曹司の溺愛

「じゃあ、私はこれで失礼します!」


 理央が頭を下げて背中を向けると、慌てたような遠矢の声がした。


「あ、あれ?僕の部屋の窓ふきはしてくれないの?」


「えっ」


「窓の汚れ、結構気になってたんだよね、頼めるかな?お嬢さん」


「…………」


 理央は無言で、探るような視線を遠矢に向ける。


「大丈夫!誓って何もしないから。一応これでも僕は、勉学に身を費やす学生なんだ。今はその最中だから警戒しなくてもいいよ?」


 いつもみたいに笑ってはいるけど、遠矢の様子から身の危険は感じない。

 一応、悠斗に知れたら殺されるって自覚してるみたいだし、大丈夫だよね…。


「……分かりました」と、理央は頷き、遠矢の部屋へ足を入れた。


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