完璧御曹司の溺愛
「水島さん…」
「あんたもいたの?」
互いに驚いたように顔を見合わせた。
彼女と会うのは、悠斗を私に譲って、と理科室で頼まれた時以来だ。
遥が室内を見回している間に、理央は素早く目元の涙を拭う。
「………三春先生の姿がないみたいだけど、今いないの?」
「あ、うん。所用でちょうど職員室に行ってて…」
「そう。生理痛の薬が欲しかったんだけど出直すわ…」
そして、遥は理央へ目を向けた。
「あんた、先輩と義理の兄妹になったんだよね?」
「え?」
「今、学校中、その噂で持ち切りだもん。皆、あんたと先輩が恋人じゃなかったって知って喜んでる」と、遥は冷静に話を続ける。
「私もその中の一人。私ね、まだ先輩を諦めたわけじゃないから」
「水島さん…」
「先輩があんたを心の底から好きなのは最初から分かってた。三春先生にも諦めたほうがいいって言われたけど、それでも諦められなかった」と、遥が悔しそうに唇を噛む。