完璧御曹司の溺愛


 その日の夜、悠斗がいつも通り帰ってきて、リビングに顔を出した。


「お帰りなさい」


「ただいま」


 悠斗は少し、不安げに理央を見つめた。

 理央の様子がおかしいのを、今朝からずっと気にしているようだった。


「理央、大丈夫?」


 理央は返事の代わりにニッコリと笑った。

 朝よりは、幾分マシな笑顔を作れるようになっていると思う。


「ご飯できてるよ?着替えてくる?」


「うん」


 リビングには遠矢と涼子がいた。

 悠斗は理央を必要以上に構うような事はせず、頭を軽く撫でると自室へ着替えに行った。


 既に夕食を終えていた理央は、悠斗の為の夕食を準備する。

 しばらくして悠斗が戻ってきた。


 理央の用意してくれた夕食を食べる為、ダイニングの椅子に腰掛ける。


「今日は和食だね。いただきます」


 悠斗はまず、理央の作った味噌汁から口に運ぶ。

 理央は悠斗と向かいあうようにして座った。


「美味しい?今日は油揚げと小松菜のお味噌汁にしたの」


「もちろん、美味しいよ。理央の作るものが俺の口に合わないわけないでしょ?」


 悠斗はいつものように、ニコリと微笑んでくれる。


「良かった。そうそうこの小松菜、市川さんの畑で採れたものなんだよ?」


「へぇ、そうなんだ。そういえば最近、市川の畑に顔出してないな」と、悠斗は思い出したように呟く。



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