完璧御曹司の溺愛
「今度の日曜日、休みをもらえたから朝の収穫、手伝おうかな…」
「日曜日、悠斗お休みなの?」
「うん。この間は例の二日酔いで無理させたから、休んでいいって」
「そうなんだ…」
「理央、畑のあと、一緒にどこかに出かけようか?」
「えっ?」
「休みの日に、まだ二人で出かけた事ってないでしょ?」
素直に嬉しくて、理央の胸は踊った。
けれどすぐに、自分がこう思う事自体、間違っているんだと気がつく。
私達が結ばれる事はきっとないのだから、この先、悠斗に必要なのは私じゃない。
この気持ちは、ただ捨てるしかないんだ。
「理央?」
遠矢さんの言った通り、悠斗が私に母親のような愛情を求めているのなら、悠斗の側には私に変わる別の女性が居てあげるべきなのかも知れない。
それがいずれ、悠斗の幸せへと繋がるのなら、悠斗を本当に大切に想ってくれている人と一緒になって欲しい。
ふと、頭の中に今日の遥の顔が浮かんで、理央はかき消すように首を横に振った。
「ねぇ、理央?本当に、どうしたの?」
心配そうな顔をした悠斗が、片手で理央の頬を包むように触れてきた。
温かい……
こうやって触れられるのも、以前なら嬉しくて仕方なかった。
でも今は、胸が苦しくてこの温かさから逃げ出したくなってしまう。
「あ、悠斗、お味噌汁お替りするでしょ?お椀ちょうだい?」
理央は悠斗の手から逃れるように、空に近いお椀を奪い、キッチンへ向かった。
キッチンで味噌汁をよそっていると、後ろからフワリと抱きしめられた。
「きゃっ、ゆ、悠斗?」
悠斗は理央の肩を両手で抱きながら、理央の白い首筋に口づけを落とした。
「ゆ、悠斗、くすぐったいよ…」
「だめ、お仕置き。理央は最近、俺に何か隠してるから…」
チュッと甘いリップ音に、理央は慌てて身体をよじろうとするが、悠斗に肩を強く抱かれていた為、身動きがとれない。
「どうしても、俺には話せない事なの?」
悠斗の吐息が首筋にかかる。
話す、話さない以前に、身体がビクビクと反応してしまい、それどころじゃなくなる。
甘い愉悦が、身体の奥から沸き起こる。
「ゆ、悠斗…み、皆に見られちゃうよ…」
「ここは、リビングから死角になってるから平気だよ」
悠斗は、理央の敏感に疼くその部分を、甘く噛んでくる。