完璧御曹司の溺愛
「んんっ……」
我慢出来なくて、理央の口から小さな声が漏れた。
「悠斗っ…」
悠斗はそのまま吸うように、強く口づけてくる。
「…あ、だめ……」
徐々に力が抜けて、足が震えてくる。
「それは、もっとっていう意味?」
フルフルと理央は必死に首をふった。
このまま続けられると、熱い味噌汁をこぼしてしまう。
耳まで赤くする理央を見て「分かった…」と悠斗は観念したように囁いた。
首筋から唇は離してもらえたけど、肩は抱きしめられたまま。
「ねぇ、理央?俺が、紫陽花畑で言った事、覚えてるよね?」
『理央は何も、不安になんて思わなくていいから』
「何があっても、理央の事は俺が守るよ…」と、悠斗は理央の肩を抱く腕に力をこめた。
そして「それだけは忘れないで?」と優しく甘く、耳元で囁かれて、身体の力が全て抜けそうになった。
真実を全て吐き出して、悠斗に不安で孤独な胸の内を明かせる事が出来たらどんなに楽だろう。
そんな想いが頭を掠めていった。
でもそれは、逆に悠斗を苦しめるだけ。
こんな気持ちになるのは自分一人でいい。
そんな想いも、同時に襲ってくる。
「あ〜れ〜?いないと思ってたら、こんなところで、いちゃついてたの〜?」
背後から軽はずみな声がして、理央はハッとした。
そして、悠斗の腕が解かれていくのが分かった。