完璧御曹司の溺愛
「ごめんねぇ?邪魔しちゃって!」
遠矢は頭の後ろで、手を組みながらやって来た。
理央は恥ずかしさから俯いて、味噌汁を盆にのせる。
「そう思うなら、ほっといてくれないか?」
「だって僕、一応悠斗とはライバルだし?悠斗が僕なら同じように邪魔に入るでしょ?」
「お前は、まだ理央を諦めてないのか…」と、悠斗は深いため息を一つもらす。
「もちろんだよ?諦める理由は一つもない、それくらい僕は理央ちゃんが好き」
「と、遠矢さん、恥ずかしいのでやめて下さい…」
「そう、そう、そんなふうに照れる姿も愛らしいなぁ。昨日もさ、僕の部屋まで会いに来てくれたんだよね?」
「遠矢さん、何か随分都合のいい解釈してますけど違います。市川さんのお手伝いで、お屋敷中の窓を拭いて回ってただけです」
「あれ?そうだっけ?」
「お前、理央に何もしてないだろうな?」
「してないよ?ね、理央ちゃん?」
理央はコクンと頷いた。
「でも、そろそろ思い出の一つくらい、貰っておこうかなぁって…」
不思議そうな顔をする理央に向かって、遠矢がジリリと距離を詰めてくる
「実はね、もうすぐ休暇が終わっちゃうんだ。だから、ここにもいられなくなる。本当は君を一緒にイギリスに連れて帰りたいくらいだけど…」
遠矢は、不機嫌そうな悠斗に、わざとらしく視線をうつしてみせた。
「それも、どうやら叶わないみたいだ。そんな僕に、最後はキスくらい許してくれたっていいだろ?」
「え、キ、キス…!?」
ニコニコした遠矢の顔が間近に来た時、間に入った悠斗が遠矢の服ごと首根っこを掴んだ。
「いい訳ないだろ!」