完璧御曹司の溺愛
「理央にキスなんて、俺が許さないからな」
悠斗に目だけで殺されそうな遠矢が「わ、分かったから離して?」と両手を上げた。
「じゃ、じゃあさ、一緒にお出かけくらいはしてくれるかなぁ?」
「お出かけ…ですか?」
「そう、これ見てよ!」
遠矢は胸ポケットから4枚の紙を取り出した。
「これって?」
「遊園地のフリーパスチケットだよ?この前、知人にもらったんだ!」
「知人?」と、悠斗が訝しげな顔をする。
「うん。今度の日曜日、皆で行かない?」
「遠矢、何を企んでるんだ?」
悠斗が探るような顔で遠矢を見ている。
「嫌だなぁ〜、何も企んでなんかないよ?思い出作りじゃないか、思い出作り!そういえば理央ちゃん、遊園地は好き?」
「私、実は遊園地には一度も行った事がなくて…」
「えっ、そうなの?」
「ずっと、行ってみたいとは思ってたんですけど…」
「それなら行こうよ?僕が連れて行ってあげるから!」
「で、でも…」
理央が隣の悠斗をチラリと見たのを、遠矢は見逃さなかった。
「悠斗の仏頂面のせいで、理央ちゃんが困ってるじゃないか」
「誰のせいだよ。だいたい、理央が目の前で口説かれてるのに笑っていられる余裕があると思うか?」
「悠斗は本当に、理央ちゃんの事になると余裕がなくなるよね。もっと困らせてやりたくなるな」
遠矢は理央の腰に手を回そうとする。
悠斗はその前に、素早く理央の腕を引き、その胸に抱き寄せた。
「触るな。お前は早くイギリスに帰れ」
「そんなに怒るなよ。チケット余ってるんだし、悠斗も日曜日来るだろ?」
「お前と遊園地に?」
「お前が来ないんなら、理央ちゃんは僕の物だぞ?お前の知らないところで、理央ちゃんとあんな事やこんな事…」
「分かった…。俺も行く」
ムキになる遠矢に、悠斗はついに観念したように額に手を当て、目を伏せた。