完璧御曹司の溺愛


 悠斗の姿を見て、遠矢は怪訝そうに眉を寄せた。


「理央ちゃんが苦手な乗り物、何でお前が知ってんの?理央ちゃんは遊園地に来たことないはずなんだけど?」


「そうじゃない、理央は…」


 不穏な空気が流れて、理央は慌てて二人の間に割って入った。


「わ、私、ここで待ってるから、三人で乗ってきて?」


「なら、僕も残る!二人で行ってきなよ!」と、遠矢は無理矢理、理央の腕をひいた。


「お前にばかり理央ちゃんは渡さないからな!今日は僕がずっと、理央ちゃんといるから!」


 そして、断固として譲らないとばかりに理央の腰に手を回す。


「と、遠矢さんっ」


「あの、先輩?良かったら私と一緒に乗りませんか?」


 遥が悠斗の服の端を引っ張り、どこか控えめに悠斗に話しかける。


「先輩さえ、良ければ…」


「そうだよ!遥ちゃんはお前と乗りたいみたいだし、早く行ってきなよ?それとも、女の子を一人で乗らせる気じゃないよね?」


 遠矢の迫力に気圧された悠斗は、大きなため息を一つ吐くと、遥と一緒に乗り場へ向かって歩いて行った。


 その後ろ姿を見つめていると、遠矢が理央に耳打ちをする。


「ねぇ、理央ちゃん?今のうちに、二人で抜け出さない?」







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