完璧御曹司の溺愛


 和やかに4人での食事が始まった。


 えぇっと…

 秀和おじさんの息子さんが瀬戸先輩だったんだよね。


 豪華な料理を口に運びながら、理央は頭の中を整理していた。


 おじさん、瀬戸秀和は瀬戸悠斗先輩と親子で……

 そして、おじさんは私の母と婚約したから、私と先輩は義理の兄妹になる……?


 先輩は、私のお兄さんになるんだ____


 理央はチラリと、向かいの席に座っている瀬戸悠斗に目を向けた。


 悠斗は、理央の視線に気が付くと、嬉しそうに口角を上げる。


 理央は目のやり場に困り、キョロキョロ視線を泳がせた後、最終的に俯く。


 食事が始まって何度目だろうか。


 同じ事を繰り返していた理央は、そっとため息をついた。


 あり得ない…、あり得ないよ…!

 学校一モテモテで、しかもファンクラブが存在しているような人と、これから家族になるなんて…!


「理央、どうしたの?さっきからおとなしいわね?」


 理央の静かな異変に気がついた母、涼子は、隣から理央の顔を覗き込んできた。


「だ、大丈夫!こんなに素敵なレストラン初めてで、ちょっと緊張しちゃって…」


 本心は、『こんなにカッコいい人が目の前に座るから、ちょっと、いや、かなり、緊張しちゃって…』だけど…。


「ちょっと堅苦しすぎたかな?今度は理央ちゃんの好きなお店で食事をしようか?」


 おじさんがそう言って気を遣ってくれるが、仮に近所のファミレスを紹介したとしても、私の向かい側に先輩が座るなら意味がなさそうだけど……。







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