完璧御曹司の溺愛


 悠斗を好きになったのは、この血のせいだ。


 本当はそんな事、考えたくもなかったけど、


 悠斗に、伝えたくもなかったけど、


 でも、誰よりも自分が一番認めている。


 悠斗にどうしようもなく惹かれた自分自身がよく分かっている。



 初めて会った時から、悠斗を好ましいと思ったのは、悠斗が自分の兄だからだ_____




 悠斗は理央を抱きしめたまま、しばらく何も言わなかった。

 自分の腕の中で、ただひたすらに泣き続ける理央を包み込むように抱きしめている。


 そして、悠斗は優しく理央に問う。



「……理央は、俺が好き?」


 言葉を出せないくらい激しく泣いていた理央は、ウンウンと、頷く事しか出来なかった。


「俺が兄だと知っても、その気持ちは変わらない?」


「…ぅん。…変わらない、変わるはずないよ…」


 それどころか、より一層湧き上がる、悠斗を愛しいと想う気持ち。

 
 だから、行き場をなくしているこの気持ちが辛い。


 これは、ただ、押し殺すしかない想いだから。



「でも、私には悠斗を好きな真実以外何もないの。何も悠斗にしてあげられる事がない」


 悠斗とつり合いを保てるようなお嬢様でも、そもそも本当に血の繋がった自分の両親の事すら知らない。


 そんな私が悠斗の隣で悠斗を愛す事なんて、全部全部最初から、許される事じゃなかった…!





「ねぇ、理央。結婚しよう…?」










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