完璧御曹司の溺愛



 理央は目を見開いた。


 一瞬、頭が真っ白になって、体がフリーズしてしまう。



「今の学校を卒業したら、俺と結婚して欲しい」


 頭の中に響くのは、悠斗の口から飛び出した結婚という言葉。


 結婚?

 今、結婚って言ったの……?


「ゆ、悠斗、何言ってるの…?こんな時に、私をからかってるの?」


「からかってないよ。こんな時だからこそ、からかうわけない。俺は本気で言ってるんだよ?」


「ほ、本気って…でもっ…」


「俺は理央と結婚したい。理央を心から愛してるんだ。俺の奥さんになって欲しい」


 切実な悠斗の言葉に、理央の涙は驚きのあまり止まってしまった。


「だ、だって、そんなの無理だよ!私達は…」


「……全部、知ってたよ」


「えっ」


「理央が俺の妹だって……知ってた…」


「嘘っ!どうして!?」


 悠斗は優しく、どことなく切ないような笑みを浮かべている。


「俺は理央と出会って少したった頃、親父の書斎で、理央のお父さんに関する書類を偶然見つけてしまった…」


「それじゃあ、一部がなくなってたのって?」


「俺が引き抜いた」


「一体、どうして?」


「気持ちの半分は、衝動的な現実逃避だった」


「じゃあ、もう半分は?」


「この目で真実を確かめるまで、信じない事に決めてる…」


「真実を、確かめる…?」


 悠斗は真剣な表情で頷いた。



「俺は、理央と兄妹なんて信じない。俺達が惹かれ合ったのは、体に流れる血が同じだからじゃない」





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