完璧御曹司の溺愛


 悠斗は理央の前で、ハッキリと言い切る。


「で、でも…そんなの、分かんな……」


 理央からまた、涙が流れる。

 真っ直ぐな悠斗を見つめれば見つめる程、理央の弱い部分がどんどん出てくる。

 悠斗の無限の強さに、縋って泣きつきたくなる。


「怖い?大丈夫だよ…」


 悠斗は理央の手をぎゅっと握ると、額に自分の額をコツンと押し当てた。


「俺達、DNA検査を受けよう。それから検査結果を待つ間、俺は自分の母親に会いに行こうと思うんだ。当時の真実が分かる人は、もう、俺の母親しかいないから…」


「わ、私も一緒に行く!」


「理央はまず、体調を戻さなきゃ。よく食べてよく眠って?理央がやらなきゃいけない事は、元気になることだよ」


 悠斗はいつものように、柔らかく優しい口調で理央に囁く。


「でも、私、怖くて…!悠斗は怖くないの?もし、本当に私達が兄妹だったらって…!」


「怖くないって言ったら嘘になるかな。俺も、あの書面を見てから今日まで、何も行動を起こそうとしてこなかった。どこかで逃げてたんだ…。でも今は、あんな紙切れ一枚で、大切な理央を失うのはごめんだって思ってる。俺は、理央と一緒にいる未来を諦めたくない」


「悠斗…」



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