完璧御曹司の溺愛
「それにしても、すごい賑わいだね。出店も沢山あるし、行ってみようか?」
「うん!」
悠斗と理央はニコリと笑顔で、歩き出した。
どこからか太鼓や笛の音が聞こえてきて、祭りの雰囲気を盛り上げている。
綿菓子やカステラ、射的やヨーヨー釣りに金魚釣り。
出店が初めての理央は、テレビでしか見た事ない光景に胸を躍らせた。
悠斗も外国にいたせいで、あまり、祭りに来た経験はないらしい。
二人は見よう見まねでその場を楽しむ。
ヨーヨー釣りは手先が器用な悠斗がうまくて、理央に3つも取ってくれた。
悠斗にとってもらった、丸くて可愛いヨーヨーを眺めながら歩いていると、キャアッという小さな悲鳴が聞こえる。
理央と同じ歳くらいの浴衣姿の女の子達が、理央の側を通り過ぎる寸前で悠斗に視線を送っていた。
そっか、皆、悠斗を見て、はしゃいでるんだ…と、理央は気がつく。
「理央、もうすぐ花火が上がるみたいだよ」
醜い独占欲が湧き上がった理央は、悠斗を離さないようにギュッと腕にしがみついた。
「理央?体調悪い?」
「ううん、平気。こうしてたいだけ…」
急に甘えるような理央の仕草に、何も知らない悠斗は「どうしたの?」と気にかけるように、理央の顔に顔を近付けた。
その行為にまた、小さな悲鳴が聞こえたけれど、理央は気づかないふりで悠斗の腕に頬を寄せた。