完璧御曹司の溺愛

短編 風邪をひいた悠斗 甘い日常



「お母さん、悠斗は?」


 朝食に下りて来なかった悠斗を心配して、悠斗の部屋の前に来てみれば、母の涼子が悠斗の部屋から出てきた。


「悠斗君ね、風邪ひいちゃったみたい」


「えっ、風邪?大丈夫なの?」


「熱、結構高いの。本人は平気って言ってるけれど、ベッドから出るのは無理そうね」


 心配そうに悠斗の部屋の扉をみつめる理央の肩を、涼子は優しく叩いた。

   
「心配なのは分かるけれど、しばらく寝かせてあげましょう?」


 理央と涼子は階段を下り、一階のリビングへと向かう。


「もう。秀和さんのせいね。悠斗君にろくに休みもとらせず、働かせるんだから」


 涼子は呆れたように「まだ、高校生なのに…」と、ため息をつく。


「今日の旅行はどうするの?」


 今日から家族で温泉旅行へ行くつもりだった。

 4人で行く初めて家族旅行だ。


「もちろん、中止にしましょう」と、涼子は頷く。



< 208 / 221 >

この作品をシェア

pagetop