完璧御曹司の溺愛
短編 風邪をひいた悠斗 甘い日常
「お母さん、悠斗は?」
朝食に下りて来なかった悠斗を心配して、悠斗の部屋の前に来てみれば、母の涼子が悠斗の部屋から出てきた。
「悠斗君ね、風邪ひいちゃったみたい」
「えっ、風邪?大丈夫なの?」
「熱、結構高いの。本人は平気って言ってるけれど、ベッドから出るのは無理そうね」
心配そうに悠斗の部屋の扉をみつめる理央の肩を、涼子は優しく叩いた。
「心配なのは分かるけれど、しばらく寝かせてあげましょう?」
理央と涼子は階段を下り、一階のリビングへと向かう。
「もう。秀和さんのせいね。悠斗君にろくに休みもとらせず、働かせるんだから」
涼子は呆れたように「まだ、高校生なのに…」と、ため息をつく。
「今日の旅行はどうするの?」
今日から家族で温泉旅行へ行くつもりだった。
4人で行く初めて家族旅行だ。
「もちろん、中止にしましょう」と、涼子は頷く。