完璧御曹司の溺愛
「私も残ります」と、最後まで、ごねていた市川を何とか説得して、三人は出かけていった。
残った理央は掃除や洗濯に取りかかる。
そして、あっと言い間にお昼を過ぎていた。
「さてと、悠斗の部屋、一度行ってみよう」
コンコンと悠斗の部屋のドアを叩いてみる。
応答はなかった。
部屋をそっと開けてみる。
電気が消えたままの悠斗の部屋は薄暗い。
入り口から目をこらすと、奥の方にベッドが見えた。
悠斗、寝てる…?
今はまだ、そっとしておこうかな…
そう思い、ドアを閉めようとした時―――
「…誰?市川?」
悠斗の掠れたような声が聞こえる。
「悠斗…?」
「理央?」
「起こしちゃった?ごめんね」
「理央、旅行、行かなかったの?」
「うん」
「どうして?」
「悠斗が心配で。だから、私だけ残ったの……」
「……そっか。心配してもらえるのは嬉しいけど、理央はそれ以上ここに、入らないで欲しい」
「どうして?」
「風邪、うつしたくないんだ」