完璧御曹司の溺愛


 そして、木製のおかゆスプーンでお粥を掬うと、フーフーと息を吹いて冷まし、悠斗の口の前まで持っていった。


「悠斗、あ、あーん……」


 悠斗は理央の目の前で、小さく口を開け、そのお粥を食べる


「ど、どう?」


「ん、おいしい…」 


 悠斗は心から嬉しそうに、理央に笑みを浮かべてくれる。

 それを間近で見て、ドキンと心臓が跳ね上がる。


「理央に食べさせてもらえるなんて幸せだよ。ずっと風邪をひいていたいかも…」


「ゆ、悠斗…」


「そしたら毎日、理央は俺にご飯を食べさせてくれるんだよね?」


「う、うん…。でも、ちょっと恥ずかしいかな…」


「だーめ。看病したいって言ったのは理央の方なんだから、ちゃんとやってくれないと?」と、悠斗はもう一度、口を開けた


 調子のいい悠斗に、理央は可笑しくなってぷっと吹き出してしまう。

 そして、お粥をもう一度掬うと、悠斗の口に運んであげる。


「悠斗、少し元気になって良かった。さっきは、うなされていたから…」


「俺、うなされてた?」


「うん。すごくうなされてた。私がタオルを額にのせても起きなかったんだよ?」


「そっか。俺、夢をみたから」


「どんな?悪い夢だったの?」


「知りたい?」


 理央はコクンと頷く。


「悠斗の事なら何だって知りたい」


 すると、悠斗は理央の持っていたお椀をサイドテーブルに置いた。

 そして、理央の腕をひき、自分の膝と膝の間に理央をストンと座らせる。


「悠斗…?」


 離さないとでも言うように、後ろからギュッと抱きしめられた。


 背中ごしの悠斗の身体はすごく熱い。

 自分の身体も悠斗の熱で溶かされてしまいそうなくらい。


「理央の夢」と悠斗が呟く。




 
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