完璧御曹司の溺愛



 放課後は毎日、理央は美術室にいた。


 その理央に会いたくて、毎日通っては、俺は何も描かずに、理央だけを見ていた。


 ひたすら真剣に、そして真っ直ぐに、理央は鉛筆を握る。

 
 たまに、難しそうに何かを考えながら教室を歩き回る姿。


 そして、良い構図が閃いた時の嬉しそうな顔。



 その表情の全てに、胸が熱く高鳴った____



 毎回、盗み見など心苦しいが、俺の中ではどうしても、理央に会いたい気持ちの方が勝ってしまっていた。


 いつからか、理央に会える放課後が、待ち遠しくてたまらなくなった。


 理央には、幼なじみの彼氏がいるという事は知っている。

 
 本当は理央を自分の物にしたくて仕方がない、けれど、こればかりはどうしようもない事も分かっている。


 それに、これから兄として紹介されるであろう自分には、妹の恋路を奪う権利などないということも……。    







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