完璧御曹司の溺愛
理央は、それにしてもどうしてだろう…と思う。
悠斗は私の事を妹として認識しているはずだ。
それなのに二人で展望台にいた時、急に抱きしめられた。
自分を見つめる悠斗の情熱的に揺れる瞳が印象深くて、なかなか頭から離れず、理央は昨夜ほとんど寝付けなかった。
今も悠斗を思い出すだけで、ドキドキしてしまう___
咲と一緒に玄関へ入ると、同じクラスの下足箱に手をかけている生徒の姿を見付けた。
裕太だった。
その裕太の姿が視界に入った途端、理央の隣にいた咲が、目を吊り上げて叫んだ。
「裕太!!」
裕太がビクンと身体を揺らし、驚いたようこちらを見た。
咲、そして、咲の隣の理央とも目が合うと、スッとそらされる。
「無視か!」
「………何だよっ」
「何だよっじゃないよ!あんたさ、昨日理央に何したか分かってんの!?」
裕太は再び、理央に視線を向けた。
「理央が倒れたの、あんたのせいだよ!」
「さ、咲ちゃん…私はっ……」
理央が慌てて口を出すと、咲は「理央は黙ってて!これは私と裕太の話!」と、キッパリと言い切る。
ここは頑として譲る気はなさそうで、血の気の多い咲がこうなっては、理央は口を出せなくなる。
その一触即発の空気に、何事かと集まる周りの生徒達の視線を背中で感じ、理央はヒヤヒヤと落ち着かない。