完璧御曹司の溺愛
お昼休み、理央は咲と一緒に食堂へ足を運んだ。
理央はこの学校の食堂を利用した事がない。
だから、ここで悠斗の姿を見かけた事がなくて、当然だった。
お昼休みの食堂の中は、沢山の生徒であふれ返っている。
食券を買う為に購買に並ぶ人、カウンターで料理を受け取る人、もう既に座り、食事をしている生徒も大勢いる。
皆が一様に同じ制服を着ているので、この中から悠斗を見付け出すのはとても大変な事のように思えた。
それでも咲は、辺りをキョロキョロ見まわして、悠斗を探してくれているが、理央は内心焦っていた。
悠斗は学校で私と会って、どんな反応をするのだろう?
昨夜、向けてくれたような優しい笑みを見せてくれるだろうか?
昨日と違い、ここは白昼の学校で、周りの目も沢山ある。
中学時代から隣に並ばれるのが嫌で仕方なかったと言っていた裕太の顔がどうしてもちらついてしまい、不安が胸を覆った。
「あれぇ…先輩どこだろう?」
ところが、高身長の悠斗の姿は、どこを探しても見当たらないようだ。
「そう言えば今日は、先輩目当ての女の子も少ないような気がするけど、理央、ちょっと待ってて?」
咲が、近くに座っている3年生の女子グループに話しを聞きに行ったので、理央もその後を追った。