完璧御曹司の溺愛
咲に連れられて、理央は保健室へやって来た。
三春は今、所用で出ているようで、不在の札がドアに貼ってある。
「そのうち戻るだろうし、理央はベッドで休んでた方がいいよ」と、咲が言う。
「うん、そうする。咲ちゃんはもう行かなきゃね」
もうすぐ、午後の授業のチャイムが鳴る時間だった。
理央は咲を廊下で見送ってから、保健室へ入り、ベッドのカーテンを開けた。
でも、そこには思わぬ先客がいた。
ベッドの上で、枕をクッションのように背中に寄せ、悠々とスマホを触っていたのは裕太だった。
「ゆ、裕太!?」
「よぉ」と、裕太は片方の手を軽くあげる。
「裕太も、どこか悪いの?」
どこも悪くはない裕太だが、理央は至って真面目だった。
「ま、まぁな…。色々と調子が悪い…」
「朝、ちょっと元気なかったもんね、裕太。大丈夫なの?三春ちゃんには、ちゃんと言った?」
「…………」
まずは自分だろ?と裕太は思っていた。
本当、呆れる…。
そんな青白い顔をしてよく言うよな。
それに、昨日だって倒れているくせに…。
まぁ、その原因を作ったのは俺で間違いないけど。
理央には、俺を責める様子は全くない。
それどころか、サボりの俺の心配って……
本当、バカか?こいつ……。