完璧御曹司の溺愛


 理央はとっさに、悠斗の腕から手を離した。


 涼子が昨日『明日は早く帰れる』と言っていた事を思い出す。


「あら?悠斗君?」


「涼子さん、こんばんは」


 驚いた顔をする涼子に、悠斗は笑みを浮かべて挨拶をした。


「一体どうしたの?あなた今、秀和さんと一緒にアメリカにいるはずじゃ…?」


「そのつもりだったんですが、どうしても外せない用事が出来て、急遽俺だけ、帰国したんです」


 一瞬涼子は、高校生のどうしても外せない用事が何か気になったような顔をしたが、それ以上、悠斗に聞くことはしなかった。


「そうだったの。それじゃあ秀和さんは、まだ向こうなのね?」


「はい。期待させてしまったなら、すいません」と悠斗は軽く頭を下げた。


 そんな悠斗に、涼子は苦笑して、顔を横に振った。



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