完璧御曹司の溺愛


 
 悠斗をリビングのソファに座らせて、理央は涼子とキッチンに立った。


 今夜の夕食はカレー。


 少食の二人だと、いつも余らせてしまうから、今日は悠斗がいてくれて良かったと、理央は思う。


 理央が食材を切っている間、涼子が鍋を温めていたその時、涼子のポケットの中の携帯電話が音をたてた。


「あ、秀和さんからだわ」


 画面を覗いた涼子の頬が思わず緩む。


「おじさん?出てきたら?」


「そうね…。でも、やっぱり後にするわ。今はカレーを作らなきゃ」


「私一人でも作れるから大丈夫だよ。それに、アメリカとは時差があるんだし、出れる時に出ておいた方がいいよ」


 実際に自分だって、外国にいる悠斗から着信があったなら、何をしていても出ずにはいられなくなると理央は思った。


 離れているのなら尚の事、声を聞く事でしか相手を感じられないのだから、その一分、一秒を何より大切にしたい。


ちょっと前の理央には、分からなかったような事だが、今ならその気持ちが、手に取るように理解できる。




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