完璧御曹司の溺愛



 あとはカレーを煮込めば出来上がりというところで、涼子が戻ってきた。


「ごめんね、理央。結局、何も出来なかったわね」


「ううん、いいよ。カレーを作るのは慣れてるし。それより、おじさんは元気そうだった?」


「えぇ、元気だったわ。早く帰って、みんなと一緒に暮らしたいと言ってたわよ」


「そうなんだ」


 理央と涼子がこの家を離れて、秀和と悠斗の家に移り住む事になるのは、秀和が今、手がけている大きな仕事が一通り落ち着いたらと、聞かされていた。


「そうそう、今ね、悠斗君が来てて、うちでご飯を食べてくところって伝えたの。すると秀和さん、呆れたようにため息をついていたわ…。一体、何があったのかしら?」


「さ、さぁ…」


 悠斗が急な帰国を決めたその原因が、自分にあったなんて知れたらどうなるかと、理央は一瞬ヒヤリとした。


 盛り付けが終わり、カレーを盆に乗せ、ダイニングへ運ぶと、リビングにかざられている、理央の幼い頃の写真を眺めていた悠斗がこちらを向いた。


「ごめんね、悠斗。お腹すいたでしょ?あっ!悠斗、カレーは好き!?」


 悠斗が急遽、うちでご飯を食べて行く事が決まり、バタバタと慌ただしかった為、悠斗の好き嫌いを聞くのを忘れていた理央は、嫌いと言われたらどうしようかと思ったが、悠斗は嬉しそうな顔で答えた。


「うん、好きだよ」





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