完璧御曹司の溺愛


「良かった!あ、こっちに座って?今、サラダとスープも持ってくるからね!」


 いそいそと動き回る理央の姿を見て、悠斗はクスリと笑う。


「理央は、家ではいつもそんなふうなの?」


「えっ」


 何か、変だったろうか?

 思わず動きが止まってしまう。


「何だか張り切ったように動き回っているから。学校でおとなしい理央とは、少しかけ離れてるように見えて」


「そ、そうかな…」


 自分でも気が付かなかった事を指摘されて、理央は戸惑う。


 普段は母が仕事で出ていて、一人で過ごす事が多いから、いつも張り切っているわけじゃない。

 
 じゃあ、急に食事をしていく事に決まった、悠斗の帰りを心配して、早く仕度をしないといけないと思っただけ?


 でも、それも違う。


 たった一つの本当の理由に気がついた途端、理央は頬を赤らめた。

 
 自分の家の中に悠斗がいる事が、すごく嬉しいんだ……


「理央の違う一面を見られて何だか新鮮だな。それだけでも、ここに来た甲斐があったかも」


 いつの間にか、理央に勧められた椅子に座っていた悠斗は、テーブルに頬杖をつきながら満足そうな笑みで、理央の赤い顔を見つめていた。



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