完璧御曹司の溺愛
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「本当にいいの?」
「うん。何もないけど入って?」
理央に促され、悠斗は少し躊躇するように、理央の部屋へと足を踏み入れた。
私一人だと、ちょうどいい大きさの部屋が、背の高い悠斗が入ると少しだけ狭くなったように感じて、何だかいつもの部屋じゃないみたい…と、理央は思う。
「へぇ。理央の部屋、可愛いね」
あまり、流行り物に興味のない理央の部屋は、年頃の女の子にしては殺風景だった。
それでも悠斗は嬉しそうに、シンプルを統一している小さな部屋を見渡した。
「悠斗、とりあえず座って?」
悠斗は、理央のベッドの前に座った。
理央は、家の前で悠斗を引きとめた時の話の続きがしたいと言って、悠斗を自室へ連れてきた。
今から悠斗に告白をする。
そう考えると、理央は悠斗の顔を真正面から見られそうになかったので、おずおずと悠斗の隣に座った。
「あ、あのね…、さっき言いかけた事なんだけど…」
「うん…」
悠斗は隣から、少し不思議そうに理央の顔をジッと伺う。
ど、どうしよう…
ち、近い…
悠斗の国宝級に綺麗な顔が、すぐ間近に迫っていて、悠斗を意識しだした理央の胸は、またしても詰まってきてしまう。
私、このままじゃ永遠に、悠斗に告白出来ないかも知れないと、理央は徐々に焦り始める。
悠斗が感動してくれるくらい、熱い心の内を届けたいのに、緊張から自分の心臓の音が大きく鳴り響いていて、隣の悠斗にも、聞こえてしまいそうな程だ。
あぁ、早くしなきゃ、いずれ悠斗の迎えの車がやって来てしまうのに。
「えぇっと…」
「今日は理央、何か変だよ?熱でもあるのかな?」
と、悠斗が理央の額に触れようと無意識に手を伸ばしてくる。
今、そんな事をされると、いよいよ一言も喋れなくなってしまうのに…!
「あっ!だっ、大丈夫だからっ!そのっ、ちょっとだけ待って?」
「う、うん…」
理央の声を聞いて、悠斗が一瞬怯んだ。
そんな悠斗の反応にすら気付かない理央は、悠斗に背をむけて、深呼吸をした。