完璧御曹司の溺愛
理央は、悠斗の肩にしがみついた。
「悠斗が私を想ってくれる気持ちに負けないくらい、悠斗が好き…」
好きって言えて、今、気が付いた事がある。
初めて出会った理科室より、展望台で抱きしめてくれた夜より、今日学校で守ってくれたあの時より、今この瞬間が一番、悠斗の事が愛おしい。
昨日より今日、今日より明日、明日より先の未来。
そしてずっとずっとこの先、この気持ちはもっと大きく膨らんで、私はきっとこの人を、生涯愛してしまうのだろう。
そう確信出来るくらい、悠斗への好きが溢れて止まらない。
「理、央?」
戸惑うような悠斗の声。
そう、この声も、性格も、存在も全部……
「悠斗が好き……。好きで好きでたまらない。ずっと言おうと思ってた。でも、なかなか言えなくて…。素直になれなくて、ごめんね」
そして、悠斗の肩から離れて、悠斗の瞳を見つめた。
いつも真っ直ぐな悠斗の瞳が、今は驚きに揺らいで見えた。
酷く動揺する悠斗に、自分の気持ちは既に、手遅れだったのでは…と、不安になった。
「でも、もう悠斗は、私なんか好きじゃない?」
理央の瞳から大粒の涙がこぼれる。
電話で断わった時から、悠斗を苦しめた自覚はあった。
でも悠斗は理央を、激しく掻き抱いた。
その力は強くて、いつもの悠斗の抱擁からはかけ離れていた。
それでも理央は嬉しかった。
嬉しい痛みに違いなかった。
「理央、なんて事を言うの?」
悠斗の本当の心に、迎え入れられたような気がしたから。
「俺は最初からずっと、理央の事しか見えてないよ。だからこの先も、俺が好きになるのは理央しかいない」
強い口調でハッキリと告げられて、理央の胸はすぐに嬉しさでいっぱいになる。
「でも理央はいいの?本当に俺を好きになって後悔はしない?俺達、もう家族には戻れないんだよ?」
悠斗は気遣うように言ってくれたが、理央の心には清々しい程、後悔なんて浮かんでこなかった。