完璧御曹司の溺愛



「後悔なんてしない…。する訳がない。悠斗と一緒に居られるなら、地獄だって構わない…」


 これが理央の、心からの気持ちだった…。


「理央…」


「でも、出来れば私、悠斗を幸せにしてあげたい。地獄じゃなくてこの世界で、死ぬまで一緒にいたい……」


 プロポーズのようなセリフになってしまった。


 理央を抱きしめたまま、悠斗は絶句する。


 今更ながら恥ずかしさが芽生えてきて、顔がりんごのように赤くなるのが、自分でも分かった。


「ゆ、悠斗…い、今のっ…わ、忘れてっ?」


 思わず両手で顔を隠した。


 このまま、この部屋から逃げ出してしまいたい。


 夜風にあたって、一度、頭を冷やしたい。



「理央、顔見せて?」


 それなのに、悠斗はこんな事を言う。


 顔を隠す理央の手を握って、その指をそっと剥がそうとする。


「ゆ、悠斗…やっ、離してっ!」


「やだ。絶対に離さない」


 そう言われて、強引に手首を取られてしまった。


「やっと、手に入れたんだ。絶対に離すものか…!」


「ゆ、悠斗…」


 悠斗も少しだけ、頬が赤い。


 いつも余裕たっぷりの悠斗も、この時だけは自分と同じくらい余裕がないのだと分かり、胸の底から愛しさがこみ上がる。


 悠斗はゆっくり息を吐くと、もう一度、理央を胸に引き寄せる。


 
< 90 / 221 >

この作品をシェア

pagetop