完璧御曹司の溺愛


「ゆ、悠斗…」


「本当は俺、ずっと自分に嫌気がさしてた…」


 悠斗は静かに話し始めた。


「理央への気持ちを自覚した時、俺は何が何でも理央を手に入れたいと思ってた。理央が離れていくのなら何度だって振り向かせるつもりだった。でも、理央の家族への気持ちを耳にした時、自分の気持ちはなんて高慢で自分勝手なんだろう…って思ったんだよ」


「悠斗…」


「理央を手放す事は出来ない。でも、自分の籠に閉じ込めてまで、理央の幸せを奪いたくない。ずっと、葛藤してたんだ。理央には、そんな自分の弱さを見せたくなかったから、いつも通りに振る舞うようにしてたけど、最終的には理央を追い詰めてた。ずるかったね。ごめんね……」


 理央は首を横に振った。


「ずるいのは私だよ。悠斗の優しさに甘えて悠斗を苦しめてた。悠斗の気持ちからも自分の気持ちからも逃げ出したの」


「理央に苦しめられるなんて幸せの極みだよ?」と、悠斗はクスリと笑った。 


「やっと、本当の意味で素直になれたんだよね?私達…」


「そうかもしれない…」と、悠斗は理央の額に優しくキスを落とした。


 その部分がジンと熱い。

 
 そう言えば、さっきからずっと、理央は悠斗と密着している。


 それも、理央のベッドの上で___


「悠斗…あ、あの…」


「ん?」と、悠斗は理央と離れる気がないように、理央の髪に顔を寄せ、更にキスを落とした。


「は、恥ずかしい…」


「改まってそんな事を言うなんて、理央は本当に可愛いね。今頃になって、急に意識しだした?」


 悠斗は展望台で、自分から逃れようと横歩きしていた理央の姿を思い出した。


 急に、恥じらいモードのスイッチがオンになる理央。


 そんなふうに可愛く焦らされては、自分はどこまでも理央を求めに走ってしまう……。


「だ、だって…悠斗が沢山キスするから…」


「キスをすると逃げちゃうの?それじゃあ俺は、この先ずっと、理央にキス出来ないな…」



 
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