完璧御曹司の溺愛


「はい。あなたの事は存じておりますよ。それにしても、お噂通り、とても健全でお可愛らしいお嬢様ですね」


「えっ……」


「良かったですね、若様。こんなに素敵な方々が旦那様と若様の新しいご家族になられるのですから。旦那様がご不在でも、お一人でこちらにお邪魔したくなる気持ちが分かります。さすがでございます」


 さ、さすがって、そのさすが??


 どうやら理央は、一人で意味を履き違えていたらしい…
 

 その事に気づき、身体を縮めた。


 全てを悟った悠斗は、理央の隣で肩を震わせている。


 どうやら、こみ上げてくる笑いを必死に堪えているようだ。


 ゆ、悠斗っ!


 顔を赤くさせながら悠斗を見ると、悠斗は目尻にたまった涙を指でぬぐった。


「若様?いかがなされましたか?」


「い、いや…本当に…。俺も涙が出るくらい嬉しいよ…」


 悠斗がそう言うと、その男性は顔のシワを更に深くし、笑みを浮かべた。



 悠斗が小さな頃から仕えている人なのかな……
 
 だから、こんなふうに笑う悠斗を見て幸せそうなんだ……



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