【完結】絶望が希望に変わる時、未来は変わる。
涙のキス
「……美結、俺タバコ買いにコンビニ行くけど、何か必要なものはあるか?」
その日のお昼すぎ、大和さんは私にそう問いかけた。
「あ……いえ。特にはありません」
「そうか。 何か必要なものがあれば、連絡してくれ」
「はい。分かりました」
スウェットにマウンテンパーカーを羽織った大和さんは「行ってくる」と言って家を出て行った。
「……大和さんって、優しいな」
昨日の夜も、大和さんはフラッシュバックに悩む私を抱きしめてくれた。
【大丈夫だ】と何度も言ってくれて、私が眠るまで抱きしめてくれるんだ。
私は……猛と過ごした毎日の歴史が長くて、他の人に対してどう接したらいいのか分からない。
大和さんは気楽に接してくれていいと言ってくれたけど、なかなか難しい気もする。
それから十五分後、大和さんはコンビニの袋を持って帰ってきた。
「ただいま、美結」
「大和さん、おかえりなさい」
「美結、お前甘いもの好きか?」
テーブルに袋を置いた大和さんは、私にそう問いかけてきた。
「甘いもの……ですか?」
「ああ。 期間限定のピスタチオプリンってのが売ってたから買ってみたんだけど、良かったら一緒に食わない?」
「ピスタチオ……プリン?」
ピスタチオって……私、食べたことないかも。
「ああ。食べるだろ?」
「……じゃあ、はい」
頷いた私に、大和さんはスプーンを二つ持ってきてくれた。
「ほら、スプーン」