【完結】絶望が希望に変わる時、未来は変わる。

命の恩人



「俺は高根沢大和(たかねざわやまと)だ。 お前は?」

「……美結。花井、美結」

「美結、お前行く所あるのか?」

「行く所……?」

 高根沢さんは私にそう問いかけると「他に行く所だよ。あるのか?」と再び聞いてくる。

「……いえ、ありません」

 私は両親がいない。小さい頃事故に亡くなったったから。 その後親戚の家で育ってけど、親戚が亡くなってからは施設で育った。
 だから身寄りはいない。

「両親は、いないのか?」

「……両親は、小さい頃事故で亡くなったのでいません」

 私がそう言うと、高根沢さんは「……そうか。すまない」と謝ってきた。

「いえ。……私は施設で育ったんですけど、彼氏と同棲するために出たので、他に頼れる人はいません」

  私には誰もいない。助けてくれる人なんて、誰もいない。……誰も。 友達もいないし、家族もいない。私は孤独な人間なの。
 誰からも必要とされないし、誰も私を必要としていない。

「美結。お前……孤独、なんだな」

「……はい」

 私は孤独な人間。私はつまらない人間。

「美結、ここにいるか?」

「……え?」

 少しの沈黙の後、高根沢さんはそう言ってくれた。

「お前がここにいたいなら、置いてやってもいいけど」

 高根沢さんはそう言うと、タバコに火をつけた。そしてふと、私に視線を向ける。

「……悪い。イヤだったか?」
 
  そう聞かれたけど、私は横に首を振った。

「そうか」
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