未来の約束と過去の願い
無事に駅について、切符を買って電車を待つ。
電車が来る時刻より早く着けた。
誰かと話していると、時間はあっという間に過ぎていくと感じる。
こうやって宗弥と他愛のない会話をしていたら、いつの間にか着いているのだ。
一人の時間も好きだが、こういった時間も悪くはないと思う。
「何か飲み物でも買おうかなー。」
宗弥はそう言って、ふらりと歩き出し自販機の前に立つ。
自販機はジュースやコーヒー、お茶、水、ゼリー飲料など様々なものが販売されている。
「決めた。」
小銭を入れて、自販機のボタンを押すと、ガコンと音を立ててペットボトルの飲み物が落ちてくる。
「何にしたんだ?」
「これ!」
片手を腰に当てて、もう片方の手で勢いよく先程の飲み物を見せてくる。
まるでCMのようなポージングだ。
「あぁ、振るとゼリーになるやつか。」
なんとも宗弥らしい選択だ。俺も幼少期は、親に強請って自販機に寄ってもらっては、そういう飲み物を買っていた。
ただ説明通りに何十回か振って、飲み物がゼリーになることが、子供ながらに面白かった。
「…懐かしいな。」
「陣は?何か飲むか?」
「いや、悪いよ。」
「いいって。急に誘っちゃったし。」
「…じゃあ、コーヒーで。」
「どっち?」
カフェラテとブラックコーヒーがあるけれど。と宗弥は指を指しながら言う。
「ブラック。」
「おっけー。」
また小銭を入れて、自販機のボタンを押すと次は缶が落ちてくる音がする。
出てきた缶コーヒーを手にとって、俺に差し出してくれた。
「悪い、ありがとう。」
「おう。」
二人で駅のホームの青い椅子に座る。
4月では少し冷たく感じる青い椅子も、夏になれば気持ちよく感じられるのだろう。
田舎の中にある駅だからか、俺たち以外に人は居なかった。
駅のホームに一定のリズムで鳴り響く、ピーン…ポーン…という音。
特に話す話題がなく、沈黙が続く中でうるさく鳴り響く。
今まで、一体なんのために鳴っているんだと思っていたが、これは盲導鈴というらしい。
視覚障害者の人のために、改札口や階段などの場所が分かるようになっているという。
大事な音なのは分かるが、沈黙の中鳴り続ける一定のこの音は少し心をひやりとさせる。
それを誤魔化すように、少しずつ飲んでいた缶コーヒーを一気に飲んだ。
「電車、まだだよな。」
「そうだけど?」
「あそこにアイスの自販機があるぞ。」
「うわ、本当だ。」
宗弥と俺はアイスが好きだ。特に、自販機で販売されているアイスが。
「買うか。」
「だな。」
俺たちはよいしょ、と立ち上がりアイスの自販機に向かう。
「あぁ!売り切れてる!」
自販機の前に立つと宗弥が大きな声で言った。
宗弥の好きな種類のアイスを見ると、そこには売り切れの表示が。
「ドンマイ。」
俺の好きなアイスは……あった。まだ売り切れていない。
「そうだ、宗弥のも俺が買うよ。」
「それじゃあ、さっきコーヒー奢った意味がなくなるだろ。」
「俺がそうしたいんだ。コーヒーとアイスを交換、な?」
「じゃあこれにする。」
「あ、俺が好きなやつ。」
「食べてみようかなって。」
「宗弥もこっちの方がハマっちゃうかもな。」
「俺のチョコチップが売り切れだから次の選択をしただけだ!」
「はいはい。」
小銭を入れて、自販機のボタンを押す。そして、落ちた音がしてから取り出す。
また同じ動作をして俺たちは元の椅子に戻った。
「どうぞ。」
「さんきゅ。」
俺は宗弥にアイスを渡す。
宗弥が好きなのはチョコチップ、俺が好きなのは抹茶だ。
先程のもそうだが、宗弥と俺は大体が対照的だ。
好きなアイスも、好きな飲み物も、食べ物も…性格も。
でも、お互いにお互いの好きなものを知ろうとして、今の宗弥のように普段じゃ選ばないものを選んでみることが良くある。
それで失敗したら、これから自分の好きなものを選べばいい。
成功したら、新たに自分の好きなものを増やすことが出来る。
それに何より、知らなかったものを知ることが出来る。
そんな、最高な関係だ。
電車が来る時刻より早く着けた。
誰かと話していると、時間はあっという間に過ぎていくと感じる。
こうやって宗弥と他愛のない会話をしていたら、いつの間にか着いているのだ。
一人の時間も好きだが、こういった時間も悪くはないと思う。
「何か飲み物でも買おうかなー。」
宗弥はそう言って、ふらりと歩き出し自販機の前に立つ。
自販機はジュースやコーヒー、お茶、水、ゼリー飲料など様々なものが販売されている。
「決めた。」
小銭を入れて、自販機のボタンを押すと、ガコンと音を立ててペットボトルの飲み物が落ちてくる。
「何にしたんだ?」
「これ!」
片手を腰に当てて、もう片方の手で勢いよく先程の飲み物を見せてくる。
まるでCMのようなポージングだ。
「あぁ、振るとゼリーになるやつか。」
なんとも宗弥らしい選択だ。俺も幼少期は、親に強請って自販機に寄ってもらっては、そういう飲み物を買っていた。
ただ説明通りに何十回か振って、飲み物がゼリーになることが、子供ながらに面白かった。
「…懐かしいな。」
「陣は?何か飲むか?」
「いや、悪いよ。」
「いいって。急に誘っちゃったし。」
「…じゃあ、コーヒーで。」
「どっち?」
カフェラテとブラックコーヒーがあるけれど。と宗弥は指を指しながら言う。
「ブラック。」
「おっけー。」
また小銭を入れて、自販機のボタンを押すと次は缶が落ちてくる音がする。
出てきた缶コーヒーを手にとって、俺に差し出してくれた。
「悪い、ありがとう。」
「おう。」
二人で駅のホームの青い椅子に座る。
4月では少し冷たく感じる青い椅子も、夏になれば気持ちよく感じられるのだろう。
田舎の中にある駅だからか、俺たち以外に人は居なかった。
駅のホームに一定のリズムで鳴り響く、ピーン…ポーン…という音。
特に話す話題がなく、沈黙が続く中でうるさく鳴り響く。
今まで、一体なんのために鳴っているんだと思っていたが、これは盲導鈴というらしい。
視覚障害者の人のために、改札口や階段などの場所が分かるようになっているという。
大事な音なのは分かるが、沈黙の中鳴り続ける一定のこの音は少し心をひやりとさせる。
それを誤魔化すように、少しずつ飲んでいた缶コーヒーを一気に飲んだ。
「電車、まだだよな。」
「そうだけど?」
「あそこにアイスの自販機があるぞ。」
「うわ、本当だ。」
宗弥と俺はアイスが好きだ。特に、自販機で販売されているアイスが。
「買うか。」
「だな。」
俺たちはよいしょ、と立ち上がりアイスの自販機に向かう。
「あぁ!売り切れてる!」
自販機の前に立つと宗弥が大きな声で言った。
宗弥の好きな種類のアイスを見ると、そこには売り切れの表示が。
「ドンマイ。」
俺の好きなアイスは……あった。まだ売り切れていない。
「そうだ、宗弥のも俺が買うよ。」
「それじゃあ、さっきコーヒー奢った意味がなくなるだろ。」
「俺がそうしたいんだ。コーヒーとアイスを交換、な?」
「じゃあこれにする。」
「あ、俺が好きなやつ。」
「食べてみようかなって。」
「宗弥もこっちの方がハマっちゃうかもな。」
「俺のチョコチップが売り切れだから次の選択をしただけだ!」
「はいはい。」
小銭を入れて、自販機のボタンを押す。そして、落ちた音がしてから取り出す。
また同じ動作をして俺たちは元の椅子に戻った。
「どうぞ。」
「さんきゅ。」
俺は宗弥にアイスを渡す。
宗弥が好きなのはチョコチップ、俺が好きなのは抹茶だ。
先程のもそうだが、宗弥と俺は大体が対照的だ。
好きなアイスも、好きな飲み物も、食べ物も…性格も。
でも、お互いにお互いの好きなものを知ろうとして、今の宗弥のように普段じゃ選ばないものを選んでみることが良くある。
それで失敗したら、これから自分の好きなものを選べばいい。
成功したら、新たに自分の好きなものを増やすことが出来る。
それに何より、知らなかったものを知ることが出来る。
そんな、最高な関係だ。