未来の約束と過去の願い
_数時間後、玄関の扉を閉める音が聞こえた。
きっと、両親が帰ってきたのだろう。
俺は階段を降りて、玄関へ向かう。
やはりそこには、帰ってきた両親の姿があった。
「おかえり」
俺が控えめに声をかけると、両親は笑顔で返してくれた。
「ただいま」
「そうだ、陣にお土産買ってきたのよ」
そう言って母は、小さな包みを差し出した。
「ありがとう」
俺はお礼を言って、着ているパーカーのポケットに仕舞う。
「きっと気にいるわ」
陽気に話す母に、機嫌が良い父。さぞかし旅行が楽しかったのだろう。
そう、先刻まで両親は旅行に出かけていた。仕事なんかじゃない。
両親は今でも仲が良く、一緒に出かけることが多いのだ。
たまに両親のイチャつきには呆れることもあるが、幸せそうで何よりだと思う。
「なあ、帰ってきて早々に悪いんだけどさ」
「どうしたの?」
「今度のゴールデンウィークに、北海道に行ってきてもいいかな」
「北海道?どうして?」
「実は今日、行きつけの本屋に行ったんだけど、そこで面白い本を見つけたんだ。それで、その本に時計塔が描いてあって。日本一古いらしくて見てみたいなと思ったんだ」
「そう…」
「それに、北海道にはずっと行ってみたいと思ってたんだ」
「そうなの?」
「北海道って、たくさんの食べ物が有名だろ?…海鮮とか、ジンギスカンとか。食べてみたくてさ。」
「確かにそうだけど…どう思う?お父さん」
母はいつも迷うと父に聞く。これは幼い頃からずっとだ。
「せっかくだし、行ってきたらいいじゃないか」
そして父は、安易な回答をする。
「ただ、北海道ってここから少し遠いじゃない?だから心配なのよね…。」
「陣も、もう高校生なんだ。少し遠出くらい許しても大丈夫だろう。」
父は心配そうな母の肩に、優しく手を置いた。
「まあ、お父さんもこう言ってることだし…良いとしましょう!その代わり、ちゃんとお土産買ってきて頂戴!」
母はさっきと打って変わって元気に言う。
…お土産って、母も父も何度か北海道に行ったことあるだろうに。
そうだ、お土産。
お土産の話をしていて思い出す。ポケットに仕舞った、母から貰ったお土産を。
北海道旅行の了承も得たことだし、自室に戻って開けてみよう。
きっと、両親が帰ってきたのだろう。
俺は階段を降りて、玄関へ向かう。
やはりそこには、帰ってきた両親の姿があった。
「おかえり」
俺が控えめに声をかけると、両親は笑顔で返してくれた。
「ただいま」
「そうだ、陣にお土産買ってきたのよ」
そう言って母は、小さな包みを差し出した。
「ありがとう」
俺はお礼を言って、着ているパーカーのポケットに仕舞う。
「きっと気にいるわ」
陽気に話す母に、機嫌が良い父。さぞかし旅行が楽しかったのだろう。
そう、先刻まで両親は旅行に出かけていた。仕事なんかじゃない。
両親は今でも仲が良く、一緒に出かけることが多いのだ。
たまに両親のイチャつきには呆れることもあるが、幸せそうで何よりだと思う。
「なあ、帰ってきて早々に悪いんだけどさ」
「どうしたの?」
「今度のゴールデンウィークに、北海道に行ってきてもいいかな」
「北海道?どうして?」
「実は今日、行きつけの本屋に行ったんだけど、そこで面白い本を見つけたんだ。それで、その本に時計塔が描いてあって。日本一古いらしくて見てみたいなと思ったんだ」
「そう…」
「それに、北海道にはずっと行ってみたいと思ってたんだ」
「そうなの?」
「北海道って、たくさんの食べ物が有名だろ?…海鮮とか、ジンギスカンとか。食べてみたくてさ。」
「確かにそうだけど…どう思う?お父さん」
母はいつも迷うと父に聞く。これは幼い頃からずっとだ。
「せっかくだし、行ってきたらいいじゃないか」
そして父は、安易な回答をする。
「ただ、北海道ってここから少し遠いじゃない?だから心配なのよね…。」
「陣も、もう高校生なんだ。少し遠出くらい許しても大丈夫だろう。」
父は心配そうな母の肩に、優しく手を置いた。
「まあ、お父さんもこう言ってることだし…良いとしましょう!その代わり、ちゃんとお土産買ってきて頂戴!」
母はさっきと打って変わって元気に言う。
…お土産って、母も父も何度か北海道に行ったことあるだろうに。
そうだ、お土産。
お土産の話をしていて思い出す。ポケットに仕舞った、母から貰ったお土産を。
北海道旅行の了承も得たことだし、自室に戻って開けてみよう。