あなたを忘れて生きていた
7.悲しみの過去
それは、彼女が13歳の頃。
村から馬車で3日ほどかかる少し離れた大きな町に、彼女は村人や隣町の人々数名と共に行き、露店で民芸品や薬草を一週間売っていた。それは、年に1度開催されるバザーで、いつも村や隣町をあげて参加をすることになっている。毎年各集落から2,3人が代表で選ばれて赴き、ものを売る。そこに子供が1人手伝いでつくというわけだ。フィリアはその「子供」枠に選ばれて、初めて村から遠出をした。
町でかなりの売り上げを出し、護衛を雇って村に戻る道中。街道の途中で、彼らの馬車は声をかけられて止まった。その時、幌の中で眠っていたフィリアは目覚めず、何が起きたのかはわからない。
目覚めると、元の町に戻っていたので、驚いたフィリアは「どうして?」と尋ねた。すると、大人たちは青ざめながらも「ちょっとね。あと少しこの町に滞在することにしたよ」とフィリアに告げる。一体何がどうしたんだろうかと思いながらも、フィリアは素直に彼らに従った。
だが、それから3日後。大人たちが宿屋で言い争いをしている姿をフィリアは目撃をする。
「わたしは村に帰る!」
「駄目だよ、駄目だよ、だって、流行り病はうつるって言うじゃないか! 広めないために、領主様たちが今、手を尽くしているって……」
「そうだよ、だから、あんな関所を作ってるんだろ? 追い返されるよ」
「街道を行かずに森を抜けていくよ。村にはあたしの旦那も息子もいるんだ!」
「俺だってそうだよ!」
ぎゃあぎゃあと話しながら、大人たちは泣いていた。フィリアは「どうしたの……?」と彼らに尋ねた。
「フィリア。落ち着いて聞いておくれ……」
村も、隣町も、流行り病で沢山の死人が出ているのだと。原因はまだわからないが、広めないために、街道に関所を作ってそこで人々の行き来を禁じているのだと。
「どうして……たった……たった12日ぐらいしか……村を出てから経ってないのよ……?」
「あたしたちだって、わからないさ!」
「わたし、村に帰る!」
フィリアはそう言って、何も持たずに宿屋から走り出ると、後ろに2人の大人がついてきた。彼らは身支度を既にしていて、フィリアに「一緒に帰ろう」と言って、馬車の手配をしてくれた。そうして、3人は村へと戻ったのだ。
村から馬車で3日ほどかかる少し離れた大きな町に、彼女は村人や隣町の人々数名と共に行き、露店で民芸品や薬草を一週間売っていた。それは、年に1度開催されるバザーで、いつも村や隣町をあげて参加をすることになっている。毎年各集落から2,3人が代表で選ばれて赴き、ものを売る。そこに子供が1人手伝いでつくというわけだ。フィリアはその「子供」枠に選ばれて、初めて村から遠出をした。
町でかなりの売り上げを出し、護衛を雇って村に戻る道中。街道の途中で、彼らの馬車は声をかけられて止まった。その時、幌の中で眠っていたフィリアは目覚めず、何が起きたのかはわからない。
目覚めると、元の町に戻っていたので、驚いたフィリアは「どうして?」と尋ねた。すると、大人たちは青ざめながらも「ちょっとね。あと少しこの町に滞在することにしたよ」とフィリアに告げる。一体何がどうしたんだろうかと思いながらも、フィリアは素直に彼らに従った。
だが、それから3日後。大人たちが宿屋で言い争いをしている姿をフィリアは目撃をする。
「わたしは村に帰る!」
「駄目だよ、駄目だよ、だって、流行り病はうつるって言うじゃないか! 広めないために、領主様たちが今、手を尽くしているって……」
「そうだよ、だから、あんな関所を作ってるんだろ? 追い返されるよ」
「街道を行かずに森を抜けていくよ。村にはあたしの旦那も息子もいるんだ!」
「俺だってそうだよ!」
ぎゃあぎゃあと話しながら、大人たちは泣いていた。フィリアは「どうしたの……?」と彼らに尋ねた。
「フィリア。落ち着いて聞いておくれ……」
村も、隣町も、流行り病で沢山の死人が出ているのだと。原因はまだわからないが、広めないために、街道に関所を作ってそこで人々の行き来を禁じているのだと。
「どうして……たった……たった12日ぐらいしか……村を出てから経ってないのよ……?」
「あたしたちだって、わからないさ!」
「わたし、村に帰る!」
フィリアはそう言って、何も持たずに宿屋から走り出ると、後ろに2人の大人がついてきた。彼らは身支度を既にしていて、フィリアに「一緒に帰ろう」と言って、馬車の手配をしてくれた。そうして、3人は村へと戻ったのだ。