No YOU No Life

過去 feat.那津

「はあ、なんか疲れた」

思わずため息が出てしまう。

まさか体育倉庫に閉じ込められるとは。それに。

「対抗心剥き出しすぎだろ……」

試合の時にも見たこちらを睨むような鋭い視線。さながら虎のようだった。

河川敷の広い草原に寝転がる。
青い草の匂いがした。

逃げるように去ってきてしまったが、きっと陽菜は冠城のご機嫌を取れるから今頃上手くやっているだろう。

今日の空は綺麗で、雲ひとつないなーなんて思っていると、一つだけ浮かんだ小さな雲が目に入った。
< 32 / 36 >

この作品をシェア

pagetop