No YOU No Life

あの日もこんな空だった気がする。

もうあれから5年になるのか。

俺が小学校で所属していたバスケットボールチームは地元じゃ負け知らずの強豪だった。

小学六年生になってキャプテンを任された。
チームのメンバーは優秀だった。
仲が良く、全員がチームのためを思って行動できるような最高のメンバーが揃っていて。

例年出場することの出来なかった関東大会に初めて出場し、全国まであと一歩というところまで来ていた。

「お前ら、ここで手ぇ抜くんじゃねえぞ!」

坂本コーチがいつも通りの鬼の形相で怒鳴りつけてきたのを覚えている。

「はい!!」

威勢よく返事をしてポジションに着く。

そこからはもうあまり覚えていない。

ただ、はっきりと覚えているのは、勝利へ向かう高揚感。このままいけば。油断するな。そういう気持ちのせめぎあい。

つーっと汗が胸をつたう感覚がした。
それを拭う間もなく、「那津!」と鋭いパスが飛んでくる。

絶対に決める。絶対に、全国に行く。
いつも以上にプレッシャーはあったが、それさえも力に変わっていくような感覚さえあった。

敵のマークをかいくぐり、飛び上がる。

その瞬間。

強い衝撃でバランスを崩した。
勢いよくタックルされたのだ。

そのまま体勢を崩したまま着地することになり、踵が地面に触れた瞬間、激しい痛みが走った。

地面に倒れ込む。
すぐさまホイッスルがなり、審判が駆け寄ってくるのを、瞼が閉じる寸前に見た。
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