No YOU No Life
おばさんと合流して3人で昼食をとる。

昼食、と言ってもそんな大層なものではなく、ただ私が握ったおにぎりなのだが。

しばらくたわいもない話で盛り上がってから、おばさんはママ友と話しに行った。

3人で和気あいあいと食べていたので気が付かなかったが、座席で昼食をとっている人は少なく、ぽつんと2人だけになった。

真斗といるときの沈黙は全然苦ではない。

むしろ居心地が良くて、ずっとこのスピードで時が進んでいけばいいのに、と思うくらい穏やかだ。

「はい問題です!」

先に沈黙を破ったのは私だ。

真斗がまるで子供の遊びに付き合ってやるような、そんな大人びた表情で笑った。

「今日のおにぎりを作ったのは誰でしょう!
①おばさん ②ひ…」

「陽菜」

「まだ問題言い終わってない!」

結果から言うと正解だったのだが、あまりに食い気味で言われたので私は少しつまらなくなる。

その表情を見てか、真斗がしてやったりの顔で続ける。

「簡単すぎるよ問題が。
塩加減とか、中に入ってる具とか。私がつくりましたーって言ってるようなもんだし。
それに1番のヒントは大きさ」

いつの間にか真斗の手からはおにぎりが消えていて、その手が私の手をガバッと掴む。

「陽菜手がちっさいから、母さんとか、陽菜のおばさんがつくるよりも大きさが小さいんだよ。気づいてなかった?」

掴まれた手がすっぽりと真斗の手におおわれて見えなくなる。

「ち、小さいとか言うな!」

「可愛いってことだよ?」

「うるさい!」

私は真斗の頭を小突いて、ふんっと横を向いた。
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